ダイエット

和菓子を過信するな!砂糖は身体にとって毒!

読者

和菓子は低脂質だから太らないって聞いたけど本当?

読者

同じ炭水化物ならお米で摂っても和菓子で摂っても一緒なの?

こんな方に向けた記事です。

トレーニング前後や炭水化物を多く摂る日に、和菓子を好んで食べる方も多いのではないでしょうか。

砂糖=”吸収の早い糖質源”と考えている人が多いですが、実は砂糖は筋肉の栄養源にはなりません。(厳密には果糖)

今回は多くの人が勘違いしている砂糖の性質について、ボディメイクに関する栄養学に詳しい管理人がわかりやすく解説します。

そもそも砂糖ってなに?

砂糖はサトウキビやテンサイなどから抽出された甘味料のことで、成分の99%が「ショ糖」で構成されています。つまり、砂糖=ショ糖という認識で問題ありません。

ショ糖というのは、「ブドウ糖」と「果糖」が合わさったものです。

ブドウ糖は脳や筋肉のエネルギー源となり、人間が生命活動を行う上で欠かせない重要な糖類ですが、果糖については人体にあまり良いものではありません。

果糖=果物由来の糖分というイメージがあり、健康的なイメージを持たれる方が多いですが、これは大きな間違いです。

果糖は人体に様々な悪影響を及ぼし、筋肉や脳のエネルギー源にもならないことから、糖分の摂取源として理想的な選択とはいえません。

そんな果糖の特性や人体に及ぼす影響について解説していきます。

果糖は筋肉のエネルギー源にならない

筋肉のエネルギー源になるのはブドウ糖

ブドウ糖は摂取された内の20%のみが肝臓で代謝されます。残りの80%は他の臓器で代謝された後、筋肉などにグリコーゲン(エネルギー源)として蓄えられます

一方、果糖は肝臓でしか代謝されず筋肉のグリコーゲンとして貯蔵されません

つまり、果糖は筋肉のエネルギーや栄養になりません

よくトレーニング後に「吸収が早い」という理由で和菓子をバクバク食べている人がいますが、筋肉に栄養を送り込むという目的で考えると、全く理にかなっていない行為といえます。

筋肉にしっかり栄養を送りたい場合は、でんぷん質の炭水化物など、ブドウ糖を多く含む糖質を摂取しましょう。

ハチミツはカーボアップに不向き

カーボアップでお餅にハチミツをかけたり、大会当日にハチミツを直飲みしている人がよくいますが、これも理にかなった行為とは言い難いです。

ハチミツの糖分は果糖の割合の方が多いので、「筋グリコーゲンを貯蔵する」「筋肉を張らせる」という目的であれば理想的な食品とはいえません。

確かにビタミンやミネラルなどの栄養は豊富ですが、炭水化物の摂取源としては他のものを選択した方が賢明です。

また、GI値が低いとされているアガベシロップですが、含まれる糖質の90%が果糖なのでこれも理想的な糖質源とはいえません。

吸収速度度の早い糖質を摂取したい場合は、マルトデキストリンCCD(クラスターデキストリン)といったブドウ糖を主成分としたものを摂取しましょう。

created by Rinker
GronG(グロング)
¥3,582 (2024/04/20 01:49:02時点 Amazon調べ-詳細)

果糖は体にとって毒

肥満人口の増加は果糖によるものといわれている

WHO(世界保健機関)とイギリスのインペリアルカレッジの調査によると、世界の肥満人口は1975年からの40年間で約3倍ほどに増えているとの結果が出ています。

出展:THE LANCET

また、米国農務省の調査によると総摂取カロリーに占める炭水化物の割合はここ30年で40%から55%に増加しているとの結果も出ています。

この増加した炭水化物の内訳を見てみると、でんぷん質の炭水化物(ブドウ糖)の増加率は30年で4%増とほとんど変わらなかったのに対し、果糖の増加率は50%増となっています。(子供に至っては88%増)

つまり、ここ30年間で世界人口の果糖摂取量は1.5~2倍に増えているということになります。

でんぷん摂取割合の過去30年の推移
果糖摂取割合の過去30年の推移

これらの結果から、世界の肥満人口の増加は果糖の摂取が増えたことが原因であるといわれています。(果糖がなぜ太りやすいのかは次の章で解説します)

果糖による疾患も増加傾向である

過去40年間で肥満人口が増加していると説明しましたが、併せて以下の疾患も増加している事実があります。

すべてが果糖の影響ではないかもしれませんが、ここ30年の果糖の摂取量の増加を見れば因果関係を否定するのは難しそうです。

異性化糖は絶対に避けよう

異性化糖とは、サツマイモやトウロモコシなどのデンプンを酵素で糖化した後、その一部を別の酵素で異性化させ、甘さを強めた甘味料のことです。

代表的な異性化糖の種類は下表のとおりです。

異性化糖の種類定義
ぶどう糖果糖液糖果糖含有率50%未満
果糖ぶどう糖液糖果糖含有率50%以上90%未満
高果糖液糖果糖含有率90%以上

異性化糖という言葉は馴染みがないかと思いますが、清涼飲料水や調味料など身近な食品によく使われています。

特に「果糖ぶどう糖液糖」はほとんどの清涼飲料水に使用されており、成分表を見ればほぼ間違いなく記載されています。

コカ・コーラの成分表示

異性化糖は果糖を多く含むため、前の章で解説した通り、筋肉の栄養源になりません

また、老化の原因である「糖化」のリスクがブドウ糖と比べると10倍以上といわれています。

要は、体にめちゃくちゃ悪い糖類ということです。

漫画グラップラー刃牙の中で「炭酸抜きコーラ」はエネルギー効率が高いと書いてありますが、果糖ぶどう糖液糖が主成分であるコーラがエネルギー源として理想的なはずがありません。漫画の情報を鵜呑みにしないようにしましょう。

出典:グラップラー刃牙

トレーニング中に糖分摂取としてコーラなどのジュース類を飲んでる人も、筋肉の栄養にならないので今すぐやめましょう。

果糖がなぜ太りやすいのか

糖質は身体のエネルギー源となるグリコーゲンという形で、主に筋肉と肝臓に貯蔵されます。

グリコーゲン貯蔵量はそれぞれ、筋肉中は約400g肝臓は約100gといわれています。 (筋肉量が多い人は筋肉中のグリコーゲン貯蔵量は更に多くなる)

グリコーゲン貯蔵量が満タンにもかかわらず、さらに糖質を摂取すると、キャパオーバーとなった糖質が脂肪に変換されてしまいます。

前述のとおり、果糖は肝臓でしか代謝されないため、筋肉のグリコーゲンにはならず、肝臓にしかグリコーゲンを蓄えることしかできません。

また、ブドウ糖は摂取量の20%だけが肝臓で代謝されるのに対し、果糖は摂取量の100%が肝臓で代謝されます。

要は、果糖の摂取量が多いと肝臓のグリコーゲン貯蔵量がすぐにキャパオーバーしてしまうので、果糖は脂肪に変換されやすいということです。

同じ炭水化物量でも、でんぷん質のものと砂糖が多く含まれた甘いものでは、体の中で起こる作用が変わってきます。炭水化物を選ぶときは甘いものではなくでんぷん質の食品を選びましょう。

大会直後の甘いものはタブー

大会終了後に今まで我慢してきた甘いものをドカ食いする人も多いのではないでしょうか。

大会の応援でドーナツや和菓子を差し入れする方も多いと思います。

しかし、「翌シーズンは勝ちたい」「来年に向けて身体をレベルアップさせたい」という方は、大会直後に甘いものを食べるのは絶対に避けるべきです。

こちらの記事に大会直後の砂糖が体に起こした悪影響について、興味深い事例が書いてあります。

大会直後は、食事制限・タンニング・大会での緊張・パンプやポージングなどの疲労で体は弱っています。

そこに筋肉の栄養にならない果糖を多く含む甘いものを摂取してしまうと、体はダメージを受けてしまいます

大会後2週間の過ごし方は翌シーズンの身体の成長を大きく左右するので、毎年身体をレベルアップさせたいという方は大会後の甘いものはなるべく控えるようにしましょう。

果糖の理解を深めたいなら

おすすめ本「果糖中毒」

カリフォルニア大学医科大学小児科の教授であるロバート・H・ラスティグ氏によって書かれた本です。

世界で肥満が広がった原因と果糖が人体に及ぼす影響について書かれています。

229の医学論文の情報をもとに書かれており、本の冒頭にも「この本には実験や研究で裏付けされていない主張は一文たりとも存在しない」と断言されているので情報の信憑性はかなり高いものとなっています。

果糖と肥満の関係性の他にも、果糖中毒の解毒方法や食品業界がなぜ異性化糖を多用するのかなど、興味深い内容が豊富に書かれています。

おすすめ映画「本当は甘くない砂糖の話」

2014年に公開されたオーストラリアのドキュメンタリー映画です。

オーストラリアの俳優デイモン・ガモーが自らの身体を実験台に、「砂糖を摂取し続けると人体にどのような影響を及ぼすか」を映像で記録した作品です。

実験の内容としては、「1日にティースプーン40杯分の砂糖由来の糖分を摂る」というのを60日間続けるというものです。(スーパーサイズミーの砂糖バージョンのようなイメージ)

この実験の面白いのが、以下の条件で行われるところです。

  • 摂取カロリーは実験前と同じ
  • ジャンクフード、甘いお菓子、ジュースは避ける
  • シリアルや低脂肪ヨーグルトなど一般的に健康食品と思われているものを中心に食べる
  • 軽い筋トレや有酸素運動も行う

カロリーを変えず、ジャンクフードやお菓子も食べず、適度な運動も行うということで、一見顕著な結果が得られないような気がしますがその結果は驚くべき内容でした。

体重は8.5kg増加し、体脂肪も7%増加、脂肪肝の一歩手前になるほど内臓脂肪が増え、他にも様々な健康被害が出るという結果になりました。

同じ摂取カロリーでも、炭水化物を砂糖(甘いもの)から摂取してしまうと、これほどまでに人体に悪影響が出るということがよくわかる実験です。

ドキュメンタリー映画としても非常に見やすい構成ですので、砂糖に関する理解を深めたい方は是非一度見てみることをおすすめします。

Amazon prime videoで見ることができます。

まとめ

今回のまとめ
  • 砂糖はブドウ糖と果糖が合わさったショ糖という糖類
  • 果糖は肝臓でしか代謝されず筋肉の栄養源にならない
  • 果糖は太りやすく人体に悪影響
  • 異性化糖は特に身体に悪い
  • 大会直後の甘いものは禁止
  • 甘いものよりでんぷん質の炭水化物を摂るべき

世間で「炭水化物=悪」という認識があるように、トレーニーには「脂質=悪」という認識が根づいているということもあり、「低脂質であれば甘いものでもOK」と考えていた方も多いのではないでしょうか。

しかし今回の記事で、同じ炭水化物でも、ブドウ糖を主成分とした「でんぷん質の炭水化物」と果糖の含有量が高い「甘いもの」では、体に与える影響が異なるということが理解いただけたかと思います。

日頃の筋トレの効果を無駄にしないためにも、日々の食事で摂る炭水化物は和菓子などの甘いものではなく、お米やオートミールなどのでんぷん質の炭水化物を摂ることを心がけましょう。