人工甘味料って体に悪くないの?
ゼロカロリーの食品っていくら食べても太らないの?
こんな方に向けた記事です。
”甘いのにカロリーゼロ”というダイエット食品にはかかせない人工甘味料。ダイエットコーラやゼロカロリーのゼリーなどに含まれ、プロテインやBCAAといったサプリメントにも含まれています。
そんな人工甘味料ですが、人体にとって様々な悪影響があることをご存知でしょうか。
今回は人工甘味料の危険性について、様々な研究結果などのエビデンスをもとに、丁寧にわかりやすく解説いたします。
人工甘味料とは?
人工甘味料とは、化学的に合成された甘味料であり、『糖アルコール』と『合成甘味料』がこれに該当します。
清涼飲料水やガムなどに使用されることが多く、ゼロカロリー、カロリーオフ、糖質オフと表示があるものにはほとんど使用されています。カロリーオフ商品だけではなく、プロテインやアミノ酸系のサプリメントにも使用されていることが多いです。
人工甘味料の種類
人工甘味料の種類には大きく2種類あります。糖質系甘味料である『糖アルコール』と、非糖質系甘味料である『合成甘味料』です。
糖アルコール | ソルビトール、マンニトール、 マルチトール、還元水飴、 還元パラチノース、キシリトール、 エリスリトール |
合成甘味料 | サッカリン、アスパルテーム、 アセスルファムK、スクラロース |
人工甘味料にもたくさんの種類がありますが、代表的な人工甘味料の特徴をご紹介します。
エリスリトール
エリスリトールはトウモロコシを原料に、酵素を用いて発酵させて製造する糖アルコールの一種。糖アルコールの中でも唯一カロリーゼロという特徴を持っています。
砂糖の60〜70%の甘みを持ち、血糖値に影響を与えず、インスリンの分泌にも影響しないといわれています。人工甘味料の中でも比較的安全性が高いといわれており、60を超える国の政府機関で承認されています。
キシリトール
キシリトールはキシロースから合成される糖アルコールの一種。虫歯予防の効果があるとされ、ガムなどに使用されることが多い甘味料です。
人間が摂取してもあまりインスリン分泌に影響しないとされていますが、犬が摂取してしまうとインスリンの分泌を促進してしまい、大量に摂取した場合は急激な血糖値低下を起こし、最悪の場合は死に至る可能性もあります。
アスパルテーム
アスパルテームは合成甘味料のひとつで、砂糖の100〜200倍の甘みを持ち、身近な食品に多く使用されています。砂糖と同じく1gあたり4kcalですが、その甘さから、カロリーを無視できるレベルの少ない量でしか使用されません。天然には存在しない甘味料であり、その安全性・危険性に関しては最も論争がある人工甘味料のひとつです。
スクラロース
スクラロースは合成甘味料のひとつで、砂糖の約600倍の甘さを持っています。まろやかな甘さで後味も良いことからお菓子類にもよく使用されています。体内で消化・吸収されないためゼロカロリーであり、インスリン分泌にも影響を与えないことがわかっています。約80ヶ国で食品・飲料への使用が認可されており、合成甘味料の中でも比較的安全とされています。
アセスルファムK
アセスルファムK(アセスルファムカリウム)は砂糖の約200倍の甘さを持つ合成甘味料です。後を引かない甘みを持っていることから、スポーツドリンクなどのすっきりした味の製品によく使用されます。後味に若干苦味があるため、他の甘味料と併用されることが多い。スクラロースと同じく、身体で消化・吸収されることがなくそのほとんどが体外に排出されるため、実質カロリーはゼロです。
サッカリン
サッカリンは世界初の人工甘味料です。砂糖の200〜700倍の甘みを持つ合成甘味料です。1960年代に発癌性が指摘され、一時期多くの国で使用禁止となった経緯があります。今ではあまり使用されることがない合成甘味料ですが、一部のガムや漬物、歯磨き粉には今でも使用されています。
人工甘味料って体に悪いの?
人工甘味料の体への影響については様々な議論が飛び交っています。”身体に害がない”という説と”身体に害がある”という説と両方あり、どちらの説もそれを証明する論文や研究結果があります。
正反対の説がそれぞれ証明されてしまっている原因としては、利益相反が原因となっている可能性が高いです。
利益相反とは?
研究グループが食品メーカーや製薬企業から資金提供を受けている場合、その研究が企業の利益のために行われていたり、研究結果の公表が公正に行われていないといった可能性があります。こういった状況を「利益相反(消費者の利益と企業や研究グループの利益が相反している状態)」といいます。
人工甘味料が含まれた食品を製造する企業としては、”身体に害がない説”を証明ができた方が、企業にとって利益につながります。こういった理由から、企業にとって都合が良い結果が出る研究条件に設定したうえで研究を行うケースも少なくありません。
では、どちらの説を信じれば良いのかという話ですが、”身体に害がある説”が利益につながる企業が少ないことを考えると、”身体に害がある”という研究結果の方が公正に行われた可能性が高く、情報にも信憑性があると考えるのが自然かと思います。
「人工甘味料は絶対に身体に悪い」という断言はできませんが、身体に悪い可能性は十分にあるので過度な摂取は控えることをおすすめします。
人工甘味料が体に与える悪影響
現在、人工甘味料が身体に与える悪影響としては、主に以下のことが指摘されています。
- ホルモンへの作用による過食
- 味覚障害
- 強い中毒作用
- 肥満・糖尿病のリスク
- 腸内環境の悪化
- うつ病のリスク
人工甘味料が人体に与える影響について、ひとつずつ解説していきます。
ホルモンへの作用による過食
砂糖や炭水化物を摂取すると、体内で単糖(ブドウ糖や果糖)まで分解され吸収されます。吸収されたブドウ糖は血液中に入り血糖値が上昇します。
血糖値が上昇すると、血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌され、インスリンにより各細胞へのブドウ糖の取り込みが促進されます。
一方、人工甘味料を摂取したときの身体の反応として、”インスリンが分泌する説”と、”インスリン分泌しない説”の2つの説があります。
この2つの説は未だ論争中ではっきりとしたことはわかっていません。
しかし、どちらの説にしても食欲が促進され、過食に繋がりやすいことがわかっています。
- 人工甘味料を摂ることでインスリンが分泌される
- 実際には血液中の糖分が増えていないのでインスリンにより、平常時よりも血糖値が下がる
- 血糖値が下がることで、脳から「何かを食べろ」という指令が出る(摂食中枢の刺激)
- 食欲が促進され過食につながる
- 人工甘味料を摂取する
- 味覚では甘さを感じているので脳が糖分を摂取したと誤認識
- 脳が「今から血糖値が上がる」と認識する
- でも実際には血糖値は変化しないので脳と体に乖離が生じる
- 脳と体の乖離を修正するために、脳が血糖値を上げるよう指令を出す(=「何かを食べて血糖値を上げろ」という指令)
- 食欲が促進され過食につながる
このようにどちらの説も共通して”より糖分を欲する”という状態につながります。
ゼロカロリーの飲み物やゼリーをいくら摂っても全然満足しないという経験したことがある方も多いのではないでしょうか。この現象は人工甘味料の特性によるホルモンの作用によって引き起こされている可能性が高いのです。
味覚障害
人工甘味料は砂糖と比較すると甘さが強く、頻繁に摂取していると甘みに関する感覚が鈍くなるといわれています。
その結果、自然の甘さや天然の糖類を摂ったときに満足できなくなり、砂糖を追加してしまったり食べ過ぎてしまったりと、過食につながる可能性があります。
強い中毒作用
これは人工甘味料だけではなく甘いもの全般に共通していえることですが、甘いものには中毒性があります。
人間は美味しいものを口にすると、ドーパミンという通称『幸せホルモン』と呼ばれるホルモンが分泌されます。ドーパミンが分泌することで「もっと食べたい」という欲が生まれます。
美味しいものを食べた時といっても、通常はその味に出会った初回にしかドーパミンは出ないといわれていますす。
しかし、甘いものは食べる度に毎回ドーパミンが分泌されるといわれています。(これは飢餓の歴史が長い人類にとって、砂糖が希少かつ効率的なエネルギー源だったことから、本能的に甘いものを求める脳の回路になったと考えられています。)
甘いものを繰り返し食べることでドーパミンが何度も放出され、次第に「もっと食べたい」という欲がさらに強くなってきます。
そして最終的には食欲のコントロールができなくなり、『甘いもの依存症』になってしまいます。
特に人工甘味料は「ゼロカロリーだから食べても大丈夫」という意識から、摂取が習慣化してしまいやすく、摂取量も多くなりがちなところがあります。
これらのことから、甘いものの中でも人工甘味料は特に中毒症状に陥りやすい甘味料といえます。
2007年にフランスで行われた、マウスを使ったサッカリンの実験では、サッカリンはコカイン以上に中毒性が高いことが明らかになっています。
ゼロカロリーだからといって摂取を習慣化しないよう注意しましょう。
肥満・糖尿病のリスク
人工甘味料は糖代謝に影響を与え、肥満や糖尿病のリスクの可能性についても指摘されています。
2014年に行われた研究では、生後10週のマウスにブドウ糖を与えるグループと人工甘味料を与えるグループの2種類に分類し、11週間摂取させ、糖代謝に違いが出るか実験を行いました。
実験の結果は、人工甘味料を摂取させたグループに耐糖能異常が現れるというものになりました。
耐糖能異常とは、インスリンの分泌が悪くなり、体内の糖質を代謝しにくい状態になっていることを指します。糖尿病予備軍ともいわれ、放置すると糖尿病になる確率が高い状態です。
また、人間に対しても同じような実験がされており、被験者7人に対し、7日間人工甘味料を摂取してもらった結果、7人中4人の糖代謝機能が低下したとの結果が出ています。
人工甘味料を継続して摂取していると、体内で糖質を処理する機能が低下し、肥満や糖尿病につながるということが十分に考えられます。
腸内環境の悪化
『肥満・糖尿病のリスク』の節で紹介した実験では、糖代謝異常の他に、マウスも人間も腸内フローラに異常が見られたという結果が出ています。
腸内フローラとは、腸内細菌がその種類ごとに形成している菌の集合体のようなもので、腸の壁面にびっしりと張り付いており、お花畑のように見えることから腸内フローラといわれています。
つまり、人工甘味料は腸内細菌に悪影響を与え、腸内環境を悪化させる危険性があります。
この実験の他にも、人工甘味料は腸内細菌のバランスを乱すという報告がいくつもあります。
ボディメイクに密接に関係している腸内環境を悪化させるというのは、人工甘味料の大きなデメリットといえます。
うつ病のリスク
人工甘味料の摂取はうつ病のリスクも向上させるといわれています。
アメリカ国立衛生研究所が約26万4000人の中高年者の疫学調査をしたところ、甘いドリンク、特にダイエット・ソーダはうつ病のリスクを高めることがわかりました。
毎日4缶以上飲んだ人たちは、飲まなかった人に比べてうつ病の発症が31%も高くなったとの結果が出ています。
なぜ人工甘味料がうつ病につながるかという、具体的なメカニズムはまだ解明されていませんが、これだけの数の被験者を対象にした調査ということから、調査結果にはかなりの信憑性があり、人工甘味料とうつ病の因果関係は否定できないと考えるのが自然です。
まとめ
- 人工甘味料とは『糖アルコール』と『合成甘味料』の2種類を指す
- 人工甘味料の体への影響は論争中だが「身体に悪い」可能性が高い
- 人工甘味料が身体に与える悪影響→ホルモンへの作用による過食、味覚障害、中毒作用、肥満・糖尿病のリスク・腸内環境の悪化・うつ病のリスク
- 人工甘味料は糖代謝異常を引き起こし肥満を促進する可能性がある
今回の内容を見て人工甘味料が怖くなったと言う方も多いのではないでしょうか。
ゼロカロリーだからといって人工甘味料を大量に摂取していた方は、一度、人工甘味料の摂取量について見直してみるのも良いかもしれません。
しかし、様々な体への悪影響が指摘されていますが、過度な摂取をしなければ体に大きな影響を与えることはないかと思います。
人工甘味料を使用した食品とは上手く付き合い、ストレスフリーかつ健康的にボディメイクに取り組むように努めましょう。