筋肉をつけるための正しい食事管理方法が知りたい…
ネットで調べたけど、結局何をどれぐらい食べたらいいのかわからない…
食事も徹底して筋トレの成果を最大化させたい!
この記事はこんな方に向けた内容になっています。
この記事を読むことでこんなメリットがあります。
- パーソナルトレーナーの食事管理が不要になる
- 大会に出場できるレベルの食事管理能力が身につく
- 体重が自由自在にコントロールできるようになる
現役フィジーク選手である管理人自身、今まで何度も増量と減量を繰り返しています。
いや、そこまでは目指してないから…
大会に出る人と一般人とでは、食事管理の仕方が違うでしょ~
そんなことはありません。コンテスト出場レベルの食事管理も、一般的なダイエットの食事管理も、根本の考え方は同じです。
フィジーク大会優勝経験のある管理人が初心者でもわかるように解説します!
かなり長編の記事になっているので「やり方だけ知りたい!」という方は、目次から”まとめ”にジャンプしてください!
前提①:身体を変えたければ食事管理は必須
腹筋はキッチンで作られる
ボディビルダー出身のハリウッドスター、アーノルドシュワルツェネッガーの言葉です。
初心者の方は「ボディメイク=筋トレ」「筋トレをハードにやれば食事は好きなように食べていい!」と思いがちですが、これは大きな間違いです。
食事とトレーニングは6:4で食事の方が重要です。
初心者であれば7:3ぐらいといっても過言ではありません。(私の経験上、上級者になっていくにつれてトレーニングの重要度の割合が上がっていきます)
人間の身体は食べたものでできています。
筋肉、内臓、皮膚、骨、毛髪などなど…これらはすべて、今まで食べたものが原料となり、体内で合成されたものです。
トレーニングはあくまで筋肉をつける”きっかけ”を与える行為にすぎません。
きっかけだけ与えても筋肉の材料となる食事をとらなければ筋肉はつきません。
私自身も初心者の頃、食事を変えた途端、身体の変化を大きく感じることができました。
ボディメイクにおいて食事はそれほど重要な要素なのです。
身体を変えたければトレーニングだけではなく、食事管理も必須といえます。
前提②:食事管理の基本
栄養管理には優先順位があります。
優先順位をピラミッド化したものが以下の図になります。
①カロリー収支
摂取カロリー(食べたもののカロリー)と消費カロリー(一日に消費するカロリー)の収支。
②三大栄養素
食事におけるタンパク質・脂質・炭水化物の割合。
③微量栄養素・水分
ビタミン・ミネラル・水分をどれぐらい摂るかという要素。
④食事回数とタイミング
1日の食事回数や食べるタイミング。
⑤サプリメント
どんなサプリメントをどれぐらい摂るかという要素。
このピラミッドの下段の方が重要な要素で、下段の要素がおろそかになっていては上段の要素をどれだけ工夫しても結果は出ません。
どんなダイエット法でもこのピラミッドの要素からは逃れられません。
例えば、カロリー収支がプラスであればどれだけ高価なサプリメントを飲もうが太ります。逆にカロリー収支がマイナスであれば、夜中にラーメンを食べようがマックを食べようが体重は減ります。
このことを理解していれば、効果のない胡散臭いダイエット法に惑わされることはありません。
ボディメイクにおける食事管理として、土台の2段である「カロリー収支」と「三大栄養素」を最低限おさえておけば、100%成果が出ます。
本記事では、「カロリー収支」と「三大栄養素」をばっちりおさえた、最適な食事内容の設定方法を解説していきます。
食事内容の決め方
食事内容の決め方の流れは以下の通りです。
STEP①:自分の消費カロリーを把握する
STEP②:目標摂取カロリーを設定する
STEP③:PFC目標量を設定する
STEP④:食事回数を設定する
STEP⑤:タイミング毎の食事内容を決める
各ステップについて、わかりやすく解説していきます!
STEP①:自分の消費カロリーを把握する
体重の増減はすべてカロリー収支で決まります。
減量するにも、増量するにもまずは自分の消費カロリーを把握しないことには始まりません。
消費カロリーは以下の式で算出できます。
運動係数は以下の表を参照します。
運動レベル | 運動係数 |
---|---|
ほぼ運動なし(デスクワーク中心) | ×1.2 |
週1~3回の軽い運動 | ×1.375 |
週3~5回の中程度の運動 | ×1.55 |
週6~7回の激しい運動 | ×1.725 |
毎日の激しい運動+肉体労働、マラソン等 | ×1.9 |
消費カロリーの計算に必要な「基礎代謝」ですが、これも計算式で算出できます。
計算式にもいくつか種類はありますが、筋肉量を考慮した正確性の高い「Katch-McArdle式」で算出することをおすすめします。
計算が面倒だという方はこちらのサイトで簡単に算出できます。https://calculator.jp/health/katch-mcardle
算出の仕方だけ見てもわかりにくいと思いますので、実際の計算例をみてみましょう!
計算の結果、A君の消費カロリーは2,000kcalとなりました。
つまりA君は、2,000kcalを超えるカロリーを摂取すれば体重が増え、下回るカロリーを摂取すれば体重が減るということになります。
ただし、この数値はあくまで目安となりますので、実際はこの数値より多少前後します。
摂取カロリーと体重の増減を照らし合わせて、おおよその消費カロリーを把握するようにしてください。
STEP②:目標カロリーを設定する
次に、目的に応じて摂取カロリーを設定していきます。
増量(筋肥大)目的の場合
消費カロリー+200~300kcal
減量(体脂肪減少)目的の場合
消費カロリー−300~500kcal
え!?それぐらいしか増減させないの!?
と思うかもしれませんが、極端なカロリーの増減はおすすめしません。
増量時に極端に摂取カロリーを増やすと体重は増えますが、体脂肪もかなり増加します。増量の目的はあくまでも「筋肥大」ですので極端な摂取カロリーの増加は避けましょう。
逆に減量のときに極端にカロリーを落とすと体脂肪だけではなく、筋肉もかなり落ちてしまいます。筋肉が落ちると基礎代謝が下がるので、どんどん痩せにくい身体になります。
増量するにしても減量するにしても、”脳が摂取カロリーの異常な変化に気づかない”カロリーに設定することがポイントです。
そして、食事管理で一番重要なことは「継続」です
極端なカロリーの増減をする食事は続きません。カロリーの増減は目安の範囲内で行い、無理なく継続できる摂取カロリーを設定しましょう。
STEP①でも登場したA君の計算例をみてみましょう。
A君が減量目的で摂取カロリーを設定した場合、目標カロリーは1700kcalになります。
STEP③:PFC目標量を設定する
PFCとは
目標カロリーを設定したら次にPFC目標量を設定します。
PFCとは三大栄養素のことで、タンパク質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(carbhydrate)の総称です。
それぞれの英語の頭文字をとってPFCといいます。
食材のカロリーはタンパク質、脂質、炭水化物それぞれの量で決まります。
上の画像の通り、タンパク質と炭水化物は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalあります。
パッケージされた食品にはこのように栄養成分表示の記載があります。ここには必ず三大栄養素(PFC)の含有量が記載されています。
これはポテトチップスの成分表示ですが、試しにカロリーを計算してみましょう。
成分表示に記載の330kcalと同じ値になりました。
このことから食べ物のカロリーは三大栄養素(PFC)の量で決まることがご理解いただけたと思います。
体重の増減を決めるのが「カロリー収支」であることに対して、どう痩せるのか(筋肉が落ちるのか、脂肪が落ちるのか)・どう太るのか(筋肉がつくのか、脂肪がつくのか)を決めるのが、「三大栄養素の摂取バランス」になります。
画像のとおり、同じカロリーでも三大栄養素の割合は食品によって異なります。
パンの方はほとんどタンパク質が含まれていません。これでは、いくら食べても筋肉にならないのは何となく想像がつきますよね?
つまり、ボディメイクを目的とした食事管理を行う場合、カロリー収支だけではなく、三大栄養素(PFC)の摂取量も管理する必要があります。
PFC目標量の設定方法
目的によって三大栄養素の目標量の目安があります。
各栄養素の目標量目安はこんな感じ↓
増量(筋肥大)目的の場合
栄養素 | 目安量 |
---|---|
タンパク質 | 除脂肪体重1kgあたり2~3g |
脂質 | 摂取カロリーの20~30% |
炭水化物 | タンパク質と脂質のカロリーを差し引いた残カロリー |
減量(体脂肪減少)目的の場合
栄養素 | 目安量 |
---|---|
タンパク質 | 除脂肪体重1kgあたり2~3g |
脂質 | 摂取カロリーの15~25% |
炭水化物 | タンパク質と脂質のカロリーを差し引いた残カロリー |
体質や生活習慣、トレーニング強度によってタンパク質や脂質の理想的な量は個人差がありますが、おおよそこの値で設定して問題ありません。
PFC目標量の決め方の流れとしては、
STEP①:タンパク質の目標量を決める
STEP②:脂質の目標量を決める
STEP③:総カロリーからタンパク質と脂質分のカロリーを差し引き、残りのカロリー分を炭水化物で摂取する
文章で見てもよくわかならいですよね。イメージがわきやすいように、A君を使った計算の具体例をみてみましょう。
A君のPFC目標量はタンパク質126g、脂質38g、炭水化物:214gとなりました。
こんな感じでPFC目標量を設定します。
これで1日の摂取カロリーとPFC目標量が決まりました。
ここからはこの目標量を実際の食事に落とし込んでいきます。
頭が痛くなってきたかもしれませんが、もう少し頑張って!
STEP④:食事回数を設定する
次に食事回数を設定します。
全体の食事量が同じ場合、食事を分割する回数が多いほど食べた物が脂肪になりにくいです。
これはインスリンの分泌が関係しているのですが、話が長くなるので今回は割愛します。
要は、一気にドカッと食べるより、少しずつこまめに食べた方がいいということです。
食事回数は4回以上にわけるのが理想的ですが、自身の生活スタイルに合わせて設定しましょう。
回数を設定したら、PFC目標量を回数で割ります。
これが一食あたりの目安カロリーとPFC目標量になります
ただし、PFCは必ずしも均等にする必要はなく、ある程度分割されていて、トータルの量が目標量を達成できれば問題ありませんので、生活スタイルに合わせて調整してください。
STEP⑤:タイミング毎の食事内容を決める
各食事タイミングのPFC目標量が決まったので、やっと具体的な食事内容を決めていけます。
目標のPFC量に合った食品・食材を選択していきます。
0から食事メニューを考えるのはかなり面倒なので、普段の食事に食材を足したり、引いたりする形で食事メニューを決めていくのがオススメです。
まずは自分の普段の食事メニューを書き出してみましょう。
この時点では各食事のPFC量が把握できていないので、各食事のPFC量を調べていきます。
パッケージされた食品には栄養成分表示があるのでそちらを参照します。
栄養成分表示がない、生鮮食品等については「カロリーSlism」というサイトで調べることができます。
- 検索欄に調べたい食材を入力
- 調べたい食材の重さを入力し、追加をクリック
- 食材がカロリー・栄養計算機に追加される
- 調べたい食材を全て追加できたら「合計の栄養素を見る」をクリック
- 追加した食材の合計カロリーと各栄養成分量が表示される
食べているものの重さがわからない方は、キッチンスケールという測定器がありますので、測ってみましょう。(1,000円ぐらいで買えます)
食事管理において食材の重さを測ることは絶対です。
え~、でも有名なボディビルダーの人がいちいち測らないって言ってたけどな~
確かに食材の重さを測らないで食事管理をする人はいますが、そういう方は特別です。
何年も同じ食事を続け、測らずともどれぐらいの量を食べれば身体がどのように変化するかを把握しているからこそ成せる業です。
初心者が同じことを行えば、お腹空いているときに無意識に多く食べてしまったり、早く痩せたいから極端に量を減らしたりしてしまい、必ず失敗します。
慣れるまでは必ず食べ物の重さは測るようにすることをオススメします。
・・・
さて、カロリーSlismで食材のPFC量が確認できました。
STEP③で算出したA君の目標はタンパク質126g、脂質38g、炭水化物:214gなので、タンパク質が足りず、脂質と炭水化物が多い状況になっています。
ここから食材の量を調整します。
調整するにあたり、各食材のPFC量の目安を覚えておけば、楽に調整できるかと思います。
- お米は100g(おにぎり1個)で炭水化物40g前後
- 肉類は100gあたりタンパク質20g前後
- 卵は1個につき脂質、タンパク質共に7g前後
目標のPFC量に合わせてA君の食事を調整します。
これでようやく食事メニューの完成です。
食材の調理方法や調味料については、そこまで制限する必要はありません。
調味料のカロリーは微々たるものですので、PFC量へのカウントも必要ありません。
ただし、脂質の多い調味料(マヨネーズ、バターなど)の使用や、油を多く使う調理法は食材のカロリーを大幅に増加させてしまうので控えた方が賢明です。
食事メニューはこんな流れで決めていきます。
初心者向けということもあり、かなり細かく説明しましたので、非常に長くなってしまいましたが、慣れれば10分ぐらいでメニュー作成ができるようになります。
今までの内容を参考に自分の食事メニューも作ってみよう!
食事管理のアドバイス
基本的な食事管理の方法は解説してきましたが、年中食事管理を行っている私からいくつかアドバイスをさせていただきます。
最優先すべきは「継続」
食事管理を行ううえで、一番多い失敗が、食事メニューの設定が厳しすぎて、挫折してしまうことです。
絶対に身体を変えてやるぞ!!
とやる気満々の人に起こりがちなミスです。
俺をその辺の奴らと一緒にするな!俺はやり遂げる!絶対に!!!
今まで何人もこんな方を見てきましたが、大体1ヶ月ぐらいで冷めるケースがほとんどです。(笑)
モチベーションがなくなったときでも継続できる食事内容にしておかなれれば続きません。
食事管理で成果を出す一番の方法は「継続」することです。食事メニューを決めるときは、「この食事で続くかな?」を常に自問自答するようにしてください。
食事はできるだけ固定しよう
「継続」のしやすさから、食事はある程度固定することをオススメします。
PFC目標量通りの食事を、毎食考えるのは非常に面倒くさいです。
「食べるものを考えるのが面倒くさい」という理由で挫折しかねません。
固定の食事メニューを考えるときは、以下のポイントを押さえておけば継続しやすいです。
- 調理が面倒くさくない
- 一日を通して同じメニューばかりにしない(毎食ご飯+鶏肉などにしない)
- 簡単に味のバリエーションが変更できる調理方法にする
同じ食事に飽きてしまったときは、一日の食事メニューをガラッと変えるか、一時的にメニューを変更したりして、できるだけ継続できるように工夫しましょう。
身体の変化が停滞したら…
最初は順調に身体が変化していたけど、停滞して変わらなくなってきた…
そうなったときは目標に合わせて摂取カロリーを見直し、PFC目標量もあわせて再設定します。
増量(筋肥大)目的の場合
⇒更に+200~300kcalしてみる
減量(体脂肪減少)目的の場合
⇒更に−100~200kcalしてみる
ただし減量時についてはカロリーを減らすばかりでは筋肉を落としかねないので、カロリーを減らす以外の策を講じた方が賢明です
減量停滞期の対策については別の記事で解説いたします。
まとめ
食事メニューの決め方のまとめは以下の通りです。
「Katch-McArdle式」で自分の消費カロリーを算出(以下のサイトで計算可能)
STEP①で算出した消費カロリーに、以下の数値を加算もしくは減算し、目標カロリーを設定する。
増量(筋肥大)目的
⇒消費カロリー+200~300kcal
減量(体脂肪減少)目的の場合
⇒消費カロリー−300~500kcal
STEP②で算出した目標カロリーをもとに、三大栄養素(PFC)の目標量を目的に応じて設定する。
増量時のPFC目安↓
栄養素 | 目安量 |
---|---|
タンパク質 | 除脂肪体重1kgあたり2~3g |
脂質 | 摂取カロリーの20~30% |
炭水化物 | タンパク質と脂質のカロリーを差し引いた残カロリー |
減量時のPFC目安↓
栄養素 | 目安量 |
---|---|
タンパク質 | 除脂肪体重1kgあたり2~3g |
脂質 | 摂取カロリーの15~25% |
炭水化物 | タンパク質と脂質のカロリーを差し引いた残カロリー |
生活スタイルに応じて食事回数を設定する。
STEP③で算出したPFC目標量を食事回数で割り、1食あたりのPFC目標量を算出する。
普段の食事に食材を足したり、引いたりする形で食事メニューを決めていく。
おすすめ書籍
食事管理についてもっと詳しく、深く知りたい!
そんな方にオススメの書籍を紹介いたします。
テレビでもお馴染みの「バズーカ岡田」先生の本です!
減量時の食事管理や減量が停滞したときの対策や、そのカードの切り方を事細かに解説しています。
初心者にもわかりやすく書かれているので、減量の基礎はこの一冊で十分学べます。
こちらも「バズーカ岡田」先生の本です!こちらは食事や栄養の教科書的な本になります。
各栄養素の働きや、栄養素が多く含まれる食材等、オールカラー&図解付きでわかりやすく書かれています。
初心者から上級者までおススメできる、”一家に一冊”欲しい本です。