ダイエット

水分を軽視するな!デカくなるための正しい水分補給

読者

筋トレ中の水分ってどれぐらい摂れば良いの?

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水分が不足すると体にどんな悪影響が出るの?

こんな方に向けた記事です。

筋トレをする上で意外と見落としがちなのが”水分”です。炭水化物やタンパク質といった三大栄養素に意識がいきがちですが、水分摂取について意識的に行なっている方は少ないのではないでしょうか。

今回はそんな水分と筋肉の関係や、正しい水分補給の方法について、論文などのエビデンス情報も交えながら、わかりやすく解説致します。

水分が影響する身体の機能

筋肉の約80%は水分で構成されており、筋肉にとって水分が重要であることは多くの方がご存知かと思います。水分が身体に与える影響は数え切れませんが、主に筋トレに関連する影響は次の通りです。

  • 運動パフォーマンス
  • 代謝機能
  • テストステロンレベル
  • 運動モチベーション
  • 痛みの感受性

水分によってそれぞれの機能がどう影響するのか、詳しく解説していきます。

運動パフォーマンス

水分は筋出力や筋持久力、パンプアップのしやすさなど、運動パフォーマンスに大きく影響します。

2018年のオーストラリアの研究では水分不足により、アイソメトリック筋力が28%低下することが認められています。(アイソメトリックとは筋肉の長さを変えないまま、一定の負荷をかける筋運動を指します。)

また、体重の2%分の水分が減少すると筋持久力が減少し、3%減少すると筋出力が低下することもわかっています。

炭水化物などの栄養素をしっかり摂っていても、水分不足になっているとパフォーマンスは低下します。また、筋持久力や筋出力だけではなく、パンプアップのしやすさ関節の動きの滑らかさなどにも大きく影響します。

栄養はしっかり摂っているのに、なぜかパンプしにくかったり、力が出にくくなるときはありませんか?そういうときは、水分不足が原因になっているのかもしれません。

代謝機能

筋合成脂肪燃焼など、身体の様々な反応には水が必要です。

水分不足になると身体の代謝機能が正常に働かなくなります。また、水分不足により血液の流れが悪くなると、必要な栄養素が筋肉に届きにくくなり、筋肉の成長も阻害されます。

水分が代謝機能に影響する事例として、水分が消費カロリーに影響を与えたという論文があります。

スイスのフリプール大学が行なった研究では、500mlの水を摂取すると、その後90分は消費カロリーが2〜4%上昇することが認められました。

この実験からもわかるように、水分は代謝機能の働きを正常に保つ上で、非常に重要な要素であるといえます。

テストステロンレベル

水分はテストステロンといった、筋合成ホルモンにも大きく影響します。

2015年にアメリカのコネチカット大学で行われた研究では、脱水症状においてテストステロンレベルがどのように変化するかが調査されました。

研究の結果、喉が乾く程度の軽い脱水症状でもテストステロンレベルが15%低下するということがわかりました。また、同様の軽い脱水症状で、筋分解を促進するホルモンであるコルチゾールのレベルも上昇することが認められました。

運動モチベーション

軽度の脱水症状は倦怠感を増加させ、モチベーションを低下させることもわかっています。

2010年のノースカロライナ大学で行われた研究では、喉が渇くぐらいの軽い脱水症状でも運動に対するモチベーションの低下と倦怠感を感じることが認められました。

また、2011年にアメリカテキサス州で行われた実験でも、水分が体重の1.6%以上喪失されると倦怠感不安感記憶力の低下が認められました。

このように、水分不足は身体の機能だけではなく、精神面にも大きく影響します。

仕事でそんなに動いていないのに、なぜか体が怠くてジムに行くのが億劫になってしまうことはありませんか?それも水分不足が原因になっているのかもしれません。

痛みの感受性

体内の水分保持状態は痛みに対する感受性にも大きくかかわっています。

2016年にニュージーランドのマッセイ大学の研究では、適切な水分摂取は痛みに対する耐性を高めることがわかっており、脱水状態にあると痛みに対する知覚や感受性が高くなることが認められました。

関節などの慢性的な痛みに悩まされている方は、天然の痛み止めである水分を積極的に摂取することをおすすめします。

水分補給の目的

筋トレにおける水分補給の最大の目的は『生理機能が正常に働くようにすること』です。

ここでいう生理機能とは、筋出力やパンプアップ、筋合成や脂肪燃焼のことを指します。生理機能を正常にしておくことで、自分が持っているパフォーマンスを最大限に発揮することができます。

生理機能を正常に働くようにするにはただ水を飲むだけではダメです。水分摂取を有効にするには『血管内に水分を留まらせておく』ことが必要です。

つまり、血管内に水を留まらせることができないと、水分補給をしたことになりません

水分補給というと、水を飲めば良いイメージがありますが、”水だけ”を飲んでも血管内に水分を留まらせるのは難しく、すぐに体外に排出されてしまいます。

なぜただの水では血管内に水分を留まらせておくことができないのか、どうすれば留まらせておけるのかについては次章で詳しく解説します。

正しい水分補給の仕方

水分の重要性について解説してきましたが、ただ水を摂るだけでは十分な効果は得られません。この章では水分を摂取する理想的なタイミングや水分量、ドリンクの種類について解説していきます。

理想的な水分量

アメリカ医学研究所が推奨する1日に必要な水分量は3.8リットルといわれています。

これに加えて、トレーニング中には1.2リットルの水分摂取が推奨されており、トレーニングする日は合計5リットルの水分摂取が理想であるとされています。

ただし、1日5リットルは慣れていない人からするとかなりの水分量であり、この量を摂取するのはなかなか難しいかと思います。

1日5リットル飲まずとも、身体が脱水状態にならなければ良いので、尿の色で身体の水分保持状態をチェックしながら必要な水分を摂取するという方法もあります。

尿の色が濃くなってくる=体内の水分が少なくなっているということになります。上記画像のとおり、尿の色が濃くなってきたら速やかに水分摂取を行い、体内の水分保持率が高い状態をキープするようにしましょう。

尿の色が濃くなっていたり、喉が渇いた時点ではすでにかなりの水分が体から失われているので、そうならないようにこまめに水分を摂取するようにしましょう。

水分補給のタイミング

水分は1日を通してこまめに水分補給するのが理想的ですが、仕事の都合などでそこまでこまめに水分摂取ができないという方も多いと思います。

こまめに摂るのが難しいという方は、水分補給が重要となる『運動前』『運動中』『運動後』だけはしっかりと水分を摂取することをおすすめします。

軍人向けに最新のフィットネス情報を発信しているアメリカのフィットネス情報サイト「HPRC」では、水分摂取のタイミングと各タイミングに摂取すべき水分量を以下の内容で推奨しています。

  • 運動の2〜4時間前に414〜650ml
  • 運動中は60分ごとに473〜946ml
  • 運動後は591〜710ml

運動の前中後は特に運動パフォーマンスにかかわるためしっかりと水分摂取する必要があります。

運動前に関しては2〜4時間前とかなり前の段階で飲んでおく必要があり、1時間前ぐらいだと水分摂取のタイミングとしては、すでに遅いということになります。

また、空腹時に水だけを飲んでも体内に保持されず、すぐに尿として排出されてしまいます。

食事と同じタイミングで水分を摂取すると、水分が身体に保持されやすいので、食事のタイミングでもしっかりと水分を摂取することをお勧めします。

ちなみに、水を飲むと毒素が排出されるといわれていますが、空腹時に大量に水だけを飲んでもすぐに尿になるだけで、毒素の排出効果はほとんど期待できません。空腹時にミネラルウォーターだけガブガブ飲んでも、水分摂取による恩恵はあまり受けれないということはしっかり認識しておきましょう。

飲み物の種類

ここまで何度か説明してきた通り、ただ水を飲むだけでは水分が身体に留まりません。

これは、水の分子の小ささ血管にある無数の小さい穴が原因となっています。ただの水だと分子が小さいので、血管に水が補給されても、この小さい穴から水分が滲み出てしまい、血管内に水分を留まらせておくことができません。

水分を血管内に留まらせておくには電解質が必要となります。電解質とは、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルのことです。

また、電解質に加え、糖質アミノ酸も含まれている水分の方が体内の水分保持率を高めることがわかっています。

12種類の飲み物で体の水分保持率を調査した研究がありますが、ただの水よりも、他の栄養素が入った牛乳やフルーツジュースなどの方が水分保持率が高かったとの結果が出ています。

食事と一緒に摂る水分を摂る場合は、食事に含まれるミネラルや糖質などを一緒に摂取できることからただの水やお茶でも、十分に体に水分を保持させることができます。

しかし、トレーニング中や食事以外のタイミングでの水分摂取の場合は、電解質と糖質がしっかり含まれているドリンクを選ぶ必要があります。

アメリカスポーツ医学会では、1リットルの水に”2gの食塩”と”体重1kgあたり1g”の糖質を混ぜるのが理想的としています。(ただし、この糖質量はバスケやマラソン選手などに推奨される量なので筋トレの場合はもう少し少なくしても良いかもしれません。)

ドリンクに混ぜる糖質源としては、マルトデキストリンCCDが理想的です。糖質量が多くなる場合は、マルトデキストリンだと胃もたれする可能性があるので、お腹にたまりにくいCCDがおすすめです。

塩については『精製塩』ではなく、ミネラルが豊富な『天然塩』を選ぶのがおすすめです。天然塩としては、ピンクソルトぬちまーすなどがおすすめです。

ここまでの内容をまとめると、トレーニング中に飲むドリンクは、『水1リットル』+『CCD(任意量)』+『天然塩2g』が理想的なドリンクとなります。

個別で揃えるのが面倒だという方は、粉末のポカリスエットもおすすめです。ポカリスエットには電解質と糖質がバランス良く含まれています。

また、液体のポカリと違い、果糖ブドウ糖液糖が使用されておらず、砂糖とデキストリンが主な糖質源となっているのでそこも魅力的です。粉末のポカリはアメリカスポーツ医学会でも「安全性と有効性が証明されたサプリ」としてエビデンスレベルがA認定されているので、かなり信頼性の高いサプリメントといえます。

まとめ

  • 水分が影響する身体の機能
    運動パフォーマンス
    代謝機能
    テストステロンレベル
    運動モチベーション
    痛みの感受性
  • 水分補給の目的は『生理機能が正常に働くようにするため』
  • 水分補給のゴールは『血管内に水分を留まらせること』
  • 1日に必要な水分量は日中3.8リットルトレーニング中1.2リットル合計5リットル
  • 水分補給を特に心がけるタイミングは運動前・中・後
  • 水分補給に適した飲み物は塩分糖質が適度に含まれるもの

水分について軽視していた方も多かったかと思いますが、今回の記事で水分の重要性について理解いただけたかと思います。

栄養をしっかり摂っているのに「なんか調子が悪い」と感じることがあれば、自身の水分摂取の状況について一度見直してみるのもいいかもしれません。